「廃車時に自動車税の還付金を受け取れるのか?受け取り方法を紹介」

自動車の廃車手続きを適切に行った場合、納めた自動車税の一部が戻ってくることがあるのをご存知でしょうか?このコラムでは自動車の廃車を検討または予定している方のために、どんな税金がどのくらい還付されるのか、またそのためにどのような手続きが必要なのか、などをまとめました。注意事項や起こり得るトラブル例なども記載していますので是非最後まで読んで参考にしてください。
 

1.廃車で戻ってくる還付金って?

1-1. 自動車税とは?

自動車税は毎年4月1日にその車を所有している人に課せられる税金です。その年度の一年分を支払う形で、4月分から翌年3月分までを支払う必要があります。これはディーラーなどに売却しても還付されません。友人や知人に譲渡するのも同様に還付の対象にはならず、廃車した時のみ、その手続きを行った翌月分から月割りで戻ってきます。
 

1-2. 自動車重量税とは?

自動車重量税は新車を購入した時、または車検を受けた際に払わなければならない税金です。対象となる車体の重量に応じて金額が変わるのでこの名称がついています。新車については3年分、車検については2年分を納税する必要があります。
 
これは廃車手続きによって還付されるのではなく、永久抹消登録を行う際に自動車重量税還付手続きを行ってはじめて還付されます。
 

1-3.軽自動車には月割りの還付はない

ただし軽自動車の場合は自動車税を払っていても、この月割りの還付はありません。ですから、4月に廃車した場合ほとんど所有していなかったのに1年分の納税をすることになります。このような場合可能であれば3月のうちに抹消登録を済ませてしまい、余分な税金を払うことを避けましょう。
 

2. 実際どのくらい戻ってくるの?

2-1. 自動車税の場合は?

自動車税は廃車を行った月の翌月分から以降の支払った分を返却する決まりになっています。例えば9月に廃車手続きを行えば、10月から3月までの分が還付されるという具合です。
自動車税を39,500円支払っており9月に廃車手続きをすれば実際にいくら還付されるのか計算してみましょう。
この場合、39,500円÷12×6ヵ月分=19,750円が戻ってきます。
 
この還付を受けるには、廃車手続きを行った際に同じ運輸支局内にある自動車税事務所に届出をしなければなりません。それほど難しい書類ではありませんので、もしわからなくてもその場で窓口の人に尋ねればほとんどの方が処理できる程度だと思います。
 
行政書士などに依頼することは可能ですが、その場合はもちろん費用が発生しますので、自分で廃車手続きをするメリットが無くなってしまいます。
 
 

2-2. 自動車重量税の場合は?

自動車重量税は「自動車リサイクル法」に沿って適正に解体された場合にのみ還付されます。この方法にのっとった作業ができる業者に解体を依頼している必要があります。
自動車重量税を24,600円払っており、車検残存期間が4ヵ月残っている場合、実際ら還付される金額を計算してみましょう。
この場合、24,600円×4ヵ月÷24ヵ月=4,100円が戻ってきます。
 

3.還付金を受け取る条件って?

3-1.自動車税を支払い済み

基本的に支払い済の税金が還付されるだけですから、払っていなければ戻るものはありません。
 

3-2.年度内に車を手放す

月単位での還付なので3月に手続きをしても還付金はありません。2月までに行えば還付が行われます。
 

3-3.地方税の滞納をしていない

地方税を滞納している場合、還付は行われません。基本的に未納の税金があればそちらに充当されるという考え方です。
 

3-4.一時抹消か永久抹消する

一時抹消登録か永久抹消登録を行った場合に自動車税の還付は行われます。ただし、一時抹消登録の場合は、自動車重量税は還付されません。
 

4. 還付金を受け取る手続きって?

4-1.特別な手続きは必要ありません

自動車税の還付については特殊な手続きが必要とされるわけではありません。一時抹消登録または永久抹消登録を滞りなく行い、廃車手続きを済ませれば自治体側から還付手続きが開始されます。
 
抹消登録の終了後1ヵ月から3ヵ月程度の期間を経て、「支払通知書」が送付されてきます。これはいわゆる小切手のような機能を有しており、それを持って銀行などの金融機関に行けば、還付金を現金で受け取ることが可能です。
 
この支払通知書は銀行振り込みにしてもらうことも可能です。仕事が忙しく平日の昼間銀行に行くのが難しいという方や、近々引っ越しを予定している方、長期出張中の方などはこの手続きをしておきましょう。運輸支局内にある自動車税事務所で振り込み申請をするだけですから、それほど時間もかからず簡単に済ませることができます。抹消登録手続きの一環でこの窓口には必ず行きますから、同時に住ませておけば便利です。
 

4-2.自治体によっては別途書類がいることも・・・

自動車税は地方自治体の管轄なので、地域によって他の書類がいる場合もあります。抹消登録の手続きは同様であっても買い取り業者やディーラーに代行してもらい場合は「委任状」を求められるケースなどがあります。
 
事前に確認する方が無難ですから、該当地区の運輸支局の窓口に問い合わせてみてください。また、買い取り業者やディーラーがその地域の取引に慣れていればあらかじめ教えてくれることもありますから聞いてみましょう。
 
 

5. 還付金を受け取る際のトラブル実例

自動車税の還付は月単位で行われるので車両を譲渡したりするとそのタイミングによってトラブルになる可能性があります。具体的な例を挙げて説明しましょう。
 
Xさんが所有していた車をYさんに4月10日に譲渡したとします。この場合4月1日時点の所有者に納税通知が来るのでXさんが納税すべきでしたが、譲渡するのだから、という話し合いの元でYさんがX当ての納税通知書で納税しました。この月のうちにYさんは名義変更も済ませましたが、都合により7月に廃車することにしました。Yさんは通常の流れに沿って手続きを行いましたが、納税がXさんの名前で行われていたため、還付金の支払い通知所はXさん宛てに送付されました。
 
この場合Yさんは手続きを行って苦労した上に税金は払い損となり、Xさんは何の苦労もなく還付金を得したことになってしまいます。このようなことを防ぐためには、譲渡の際に「還付金請求権」も一緒に譲渡してもらいましょう。
 
ただしこれには抹消登録が完了してから1週間以内に手続きしなければならないという期限があり、事前に知っていなければ非常にタイトな期間しかありません。期間内に前の名義人(上の具体例ではXさん)が押印した「債権譲渡通知書」を持って税務署に行き、提出すればこのようなトラブルは起こりません。
 
 

6.まとめ

自動車の廃車、抹消登録には何かと手間がかかります。しかし、還付金が発生するのなら、という意味でモチベーションを持って取り組むことができると思いますが、よく知っておかないと、思ったほど帰ってこなかった、手続きが不十分で還付されなかったということも起こり得ます。そのようなことにならないように、もう一度下に注意点をまとめておきます。
 
・自動車税の還付は廃車手続き終了の翌月分から月単位で行われる。そのため還付金を少しでも多くとりたいなら早い方が良い。また3月に手続きをしても還付金は発生しない。
 
・軽自動車に対しては、納税していても還付金の対象にはならない。
 
・永久抹消登録すれば自動車重量税は還付されるが、一時抹消登録をした場合は、自動車重量税は還付されない。
 
・解体業者が「自動車リサイクル法」に沿って適正に解体していなければ自動車重量税は還付されない。
 
・地方税を支払っていなければ還付されない。
 
・地方自治体によって別の書類が必要な場合がある。
 
・車両を譲渡された場合必要に応じて還付金も譲渡されるよう手続きを行う。
 
以上です。面倒なところもありますが一つ一つ丁寧にやって行けば、決して難しい手続きではありませんから、このコラムをよく読んで正しい知識を持って取り組みましょう。
 
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